「値上げ」と考えた時に まず先に頭に浮かぶのが「値段上げたら来なくなるかな...」という不安だと思います。
どんな商品・サービスでもそうですが 同じものならば安いか利便性の高い方が良いに決まっています。この場合 値上げはもろ刃の剣です。
逆に そこにしかない価値、他にはない価値で 良さを感じている。価値があると感じているような場合は 実はあまり価格は関係なくなります。
では いったい どのように値上げをしていくのが最適なのでしょう?
1.商品・サービスの価値をしっかり感じさせておく
まずは 商品・サービスの価値を十分に知ってもらう。
他にない商品、すでに価値を感じているサービス。このような商品・サービスは多少価格が上がったとしても「欲しい」ので買ってもらえます。
なので まず値上げをするときは 事前に十分顧客を「教育」しておきましょう。
例えば そこにしかない価値、他との決定的な違い、今までの成果などです。簡単に言えば顧客に「やっぱりココだよね!」と思われるようにしておくということ。
しっかりと伝えて知っておいてもらう(他には無い)ということも大切です。例え似ていても必ず 違う点はあるはずです。
例えば味が違う、24時間対応、店舗の雰囲気が抜群、スタッフが元気...etc...。なにかはあるはずです。その違いが顧客に対するメリットであればあるほど 抵抗は少なくなります。
できれば他にはないものを強調しましょう。例えば 「24時間対応はうちだけです」→「こんな時に役立ちます」など。
口頭でもいいですし リーフレットのようなものでも構いません。定期的に伝えておきます。
すると あとあと値上げはしやすいですし 他に浮気されにくくなります。
逆にまったく同じ商品で同じ立地なのに 価格だけ高いような場合は受け入れられなくなります。あくまで他との違いがあるからこそ 価格に違いがあっても受け入れられるのです。
闇雲な値上げは 離脱だけを生みます。
2.猶予を与える (選択してもらう)
いきなり値上げ!と通知をすると同時に 押し切っていくのは得策ではありません。(ありの場合もありますが...。)
力学的にも "加わる力"が強ければ 衝撃も 反動も大きくなります。
「弊社は○月○日より新規のお客様には「〇〇〇〇」について新価格とさせて頂いております。
御社については3ヶ月間は従来価格のまま○月より新価格に移行させていただきます。
何とぞ ご了承ください。」
このようにするだけで 自社は優遇してくれたんだ。新規より得している。3ヶ月先だから。といくらか和らぎます。
既存のお客様については「あなたのことは(特別に)きちんと配慮しましたよ」という部分が大切です。
この心配りだけで ただの常連から優良顧客に飛躍してくれることもあります。(ここでは省きますがマズローの5段階の欲求です。)
3.重要度の低い顧客から実施する
値上げを決めたらまずは重要度の低い顧客から伝えていきましょう。
付き合いの長さや親しさだけでなく「重要度」です。
利用額が高い、売上シェアが高い、ものすごく紹介してくれている、特別なポジションの人などさまざまあると思います。
が「なんなら もぅ仕事もらえなくても(買ってくれなくても)いいや。」と思える顧客から順に伝えていきます。
なぜなら そこで離脱されたとしても 影響がほとんどなく済むからです。いきなり 一番重要度の高い顧客に伝えたら 猛反発...しどろもどろで説得できず 怒らせて それから来なくなる。なんて最悪でしょ?
ちょい解説:値上げ通告の順は こんな効果もある
1つは「値上げします」→「わかりました。」という場合。
さぁ伝えるぞ! 上手くいくかな...という不安をよそに スルリと値上げが通ってしまう。
この経験は自分の商品・サービスに価値を感じてもらえているという裏打ちでもありますので 自身につながります。
もう1つは逆に「値上げします」→「え、なんでょ。なら買わないよ」という場合。だとしても重要度の低い顧客ですから 失っても損失は最小限です。
そして「値上げへのクレーム」の数々が把握できます。いわゆる"顧客側の生の声"です。ということは 他の顧客も言ってくるかもしれない。
先に把握できることで 先に対策を立て 資料を用意しトークを磨くなど十分準備してから 重要度の高い顧客に臨めます。
値上げを決めたら顧客の分類もせず「十把一絡げ」にして ドン!とやってしまうのは 実に危険です。
ちょい解説:十把一絡げにしない
どんなビジネスでも「売上(利益)に大きな貢献をしている顧客」というのはいます。個人でも法人でも必ず。これをまず分類して値上げを提案していきましょう、ということ。
古い常連さんがいる。新規の顧客が来る。この両者ともに一斉値上げをして両方を失ったらどうなりますか?売上ゼロです。これが最も恐れている部分だと思います。
特に従来の顧客は 従来の価格を知っているわけですから 余計に。
なので まずは新規の方に新価格のみで提示していくのが良策。新規は従来価格を知りませんので 受け入れてもらいやすいです。
一方 古い常連さんの方には「昔からのお付き合いなので半年は価格据え置きます。」と伝えるだけです。続けて来てくれていれば売上も維持できますし 数ヶ月後には値上げが約束されています。
回数券なら「今回はお得に。次回から新価格になります。」や1ヶ月以上ご利用がない場合新価格に移行したり、割引券を10枚渡してしまうなど施策は様々あります。
要するに相手にも猶予と選択を与えるということ。これにより 「突きつけられた値上げ」から自分で「 受け入れた値上げ」にすり替えることができます。
いきなり「値上げ」だけを突きつけられるより「今ならまだこの価格買っておく?」、「月一回の利用で価格据え置き」とすれば あとは顧客が決めるのです。
上がったとしても 先に据置価格を案内されている。月一回の利用をできなかった。=結果を選択したのは自分の選択ということになります。
人は押し付けられた結果はなかなかすんなり受け入れられないものです。反対に 自分で選んだことはすんなり受け入れ 責任も顧客に属することになります。
4.自信を持って伝える
ここまで十分な準備をしてきたら もう恐れることはありません。
あとは 順に値上げを伝えていくだけです。ハッキリと自信を持って伝える態度が 説得力につながったりもします。
おどおど「値上げなんてしたらまずいですよね?...」と言われれば 「え!それはナシでしょ!」と向こうも強気に出てきます。
堂々と「〇〇をさらに充実してより良い商品・サービスを展開するために〇月からこの価格でお願いいたします。」と。
さらに毅然と
「もし 価格面で難しいようでしたら 申し訳ありませんが 他をご検討ください。」
あなたの商品・サービスが優れているなら 恐れることはありません。
ちょい解説: "値切られる"ことのデメリット
値切られるということは こちらが我慢している状態で かつ相手はこちらに価値を感じていない状態です。つまり舐められています。その状態で 良い仕事できますか?
我慢しても 収益の穴はどこかで埋めるか 被るしかないのです。
資本面でもすり減りますし 自身の心も弱ります。さらに低い収益では従業員にしわ寄せが行き 良いことはありません。自分で自分の首を絞めているようなもの。
もし 商品・サービス自体に競争力がない場合は「値上げ」ではなく「 商品・サービスの価値を磨く・創設する」ということを頑張る必要があります。
似たような商品・サービスで少しの違いに価値を感じなければ ただの割高ですからね。
キチンと価値を提供できる他にない部分を磨き "双方が納得できるな付き合い"のできる顧客を発掘していくべきなのです。(つまり 入口で優良顧客を見つけ目ことが 最善の策なのです。)
5.お客が離脱することは恐れない
もし値上げしたら顧客が去っていなくなってしまうのではないか...。そんな心配は頭を離れないのだと思います。
ですが 安心してください。あなたがどこよりも優れた商品・サービスを提供してるのであれば 必ず値上げは受け入れられます。
もちろん 一定の顧客は値上げを理由に去っていくでしょう。ですが その数はあまり多くはないのです。気にすることはありません。
何より価値を感じていないのですから お付き合いしていく価値も少ないです。こちらから別れを告げるくらいの気持ちで挑みましょう。
実際には去って言った顧客の損失は 値上げした分でカバーできます。10%の顧客が去って言っても 10%値上げしていれば カバーできるのです。
そして必ず 新規が値上げ後の価格でも入ってきます。
魔法の言葉
ここで一つ魔法の言葉があります。
それは「みなさんにご納得いただいてます。」です。ポイントは「みなさんに...」。
人は自分だけ孤立したくないのです。みんながそうしている=自分もそうしなきゃという心理が働きます。
飲食店でもリピーターの93%が頼む大人気メニュー〇〇〇〇!なんてあったら 頼みたくなりますよね? あれと似ています。
まとめ
いかがでしたか?
値上げって怖いですよね? けど怖いと思っているのは あなた自身の心の問題です。
良い商品・サービスで他より優っているなら 必ず 問題なく乗り越えられます。
もちろん 下準備や 人間心理も上手に使っていかなければなりません。
けれど そうやってコントロールできることを知るだけでも まるで世界が変わります。
良い商売をできる相手に 良い商品・サービスを 良い価格で買ってもらい 高い価値を与える。
上昇スパイラルの軌道に入ると 何もかもがうまく回り始めたりもします。
- 十分な教育
- 値上げの予告と猶予 ( 選択権を与える )
- 重要度の低い顧客から伝えてテスト
- 自信をもって堂々と伝える(魔法の言葉「みんなが」)
- 値上げで去っていく顧客を恐れない
細かなテクニックやツールを使っていくことで より離脱は防げるでしょう。
臆することなく 値上げすることをお勧めします。
※この記事は「 値上げ」について一定の成果を保証するものではありません。ご自身のビジネスに照らして行ってください。